面接の場では、どの企業でもおおよそ同じような質問がされるものです。転職の面接に臨む際に押さえておきたい基本の5つの質問とその回答例、そして答える際のポイントについて紹介します。事前に面接で聞かれる内容を把握し、好印象を与える答え方をマスターしておけば、自信を持って本番に臨むことができるでしょう。これから面接を控えている方はぜひ参考にしてください。
面接の質問の流れ
1. 自己紹介
2. 転職理由
3. 志望動機
4. 自己PR(活かせる経験・実績・スキル)
5. 逆質問 (面接官への質問)
面接でよく聞かれる質問は大きく分けて、「自己紹介」「転職理由」「志望動機」「自己PR」「逆質問」の5つです。質問の順番も図の流れが一般的です。転職活動の面接を突破するためにはぜひ覚えておきましょう。
これから、それぞれの質問について詳しく掘り下げていきます。面接官の意図や答え方のポイントを理解し、回答例を参考にオリジナルの回答を作ってみてください。
質問1:自己紹介
面接官の意図
面接官が自己紹介を求める理由は以下の通りです。
• 応募者の人柄を知りたい
• 簡潔に話すスキルがあるかを把握したい
• コミュニケーション能力があるか知りたい
• 話しやすい雰囲気を作りたい
自己紹介は面接の第一印象を決める重要な要素です。面接官は応募者の話す表情や姿勢から人柄を判断すると同時に、コミュニケーション能力や簡潔に伝えるスキルを見ています。自己紹介は1分から長くても3分以内にまとめ、わかりやすく話すことが求められます。また、面接の冒頭に緊張をほぐす意図もあるため、リラックスして臨むことが大切です。
質問例
• 自己紹介をしてください。
• 経歴や実績を交えて自己紹介をお願いします。
回答例
「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。○○(氏名)と申します。これまではIT企業の株式会社△△にて、技術職として新卒から5年間従事してまいりました。主に開発ディレクターを担当し、徹底した競合調査や、各エンジニアとの密接な連携を行った結果、昨年は1年で会員登録者数10万人を超える会員サイトを立ち上げることができました。現在は主に□□や××の言語や領域に携わっておりますが、他の言語も学習済みのものが多く、新しくWebサービスの提供を始めていらっしゃる御社でも即戦力になれるのではないかと考えております。本日はよろしくお願いいたします。」
答える際のポイント
1. 1~3分ほどでまとめる
簡潔な自己紹介を数分で伝えられるように練習しておきましょう。簡単な職務内容を紹介する場合と、経歴や実績を交えた場合など、いくつかのパターンを用意しておくと安心です。
2. 今までの経験やスキルを端的に伝える
応募した仕事に活かせるスキルや経験、実績についても端的に触れましょう。最初に面接官の興味を惹きつけることで、後で詳しい話を膨らませやすくなります。
3. 応募企業への意欲をひとこと付け加える
前向きな印象を与えることで、その後の話もスムーズに進みやすくなります。「自分のスキルが活きると思い応募しました」「〇〇の点が魅力的だったので、面接に伺いました」など、企業に惹かれた理由を添えて「本日はよろしくお願いします」と締めると好印象です。
質問2:転職理由について
面接官の意図
面接官が転職理由を聞く理由は主に以下の通りです。
• 転職理由が自社で改善できるかどうか
• 同じ理由でまた退職してしまう可能性がないか
• 自社との相性が良いか
転職理由を聞くことで、せっかく入社しても前職と同じ理由で早期に退職してしまう可能性がないかを確認しています。
質問例
• 転職理由は何ですか?
• どうして以前の会社を辞められたのですか?
• 今回の転職を検討するに至った経緯を教えてください。
回答例
回答例①
「1年以上、朝9時から夜の12時までの勤務が常態化していて、改善案を上長に提案したのですが、受け入れられませんでした。自分自身のキャリアを考えたうえで、もっとインプットに使える時間が必要であると考え、転職を決意しました。」
回答例②
「現在の会社では、営業事務として勤めていますが、決まった範囲以上の仕事は求められない環境です。自分の将来を考えたときに、裁量をもってスキルアップ・キャリアアップしていきたく、転職を検討しています。」
答える際のポイント
1. 誠実に回答する
前職に何かしらの不満があるから転職することは理解されています。ネガティブな面を隠そうとせず、正直に話しましょう。ただし、会社の愚痴にならないように注意が必要です。
2. 具体的・論理的に話し、結論を前向きに展開する
転職理由は具体的かつ論理的に話しましょう。前職で不満だった点を改善するために努力したことを伝え、キャリアや仕事のことを考えて転職を選択したという流れで伝えると良いでしょう。ネガティブな理由もポジティブに変換すると悪印象になりません。
3. 「言わないこと」を決める
「絶対に言わないこと」を決めておくことも大切です。不適切な項目は削除してから面接に臨みましょう。
質問3:志望動機について
面接官の意図
面接官が志望動機を聞く理由は主に以下の通りです。
• 応募の熱意
• 長く働いてくれそうか
• 企業研究は十分にできているか
企業は、自社に魅力を感じて入社後に長く貢献してくれる人材を求めています。志望動機を聞くことで、応募者の転職の軸と自社が結びついているかを確認しています。
質問例
• 弊社への志望動機を教えてください。
• なぜうちの会社を受けられたのですか?
回答例
「御社は、飲料メーカー業界の中でも特にSNSを用いたマーケティング手法に特化していらっしゃいます。昨年発売された商品○○は発売直後から在庫切れが続き、他社から類似品が出るなど業界にも大きな影響を及ぼしました。商品自体のクオリティの高さはもちろんのこと、爆発的なブームの裏側には御社のSNSによるマーケティングの力が大きいのではないかと考えております。これまでは主に分析と顧客ニーズの把握をメインにマーケティング部門に貢献してきたため、前職で培ったスキルを活かして、御社の市場に対する影響力をますます強めていきたいと思い応募いたしました。」
答える際のポイント
1. 応募先の会社であるべき理由を答える
志望動機では、企業に対しての本気度や長く働ける人材であることをアピールする必要があります。「なぜ他社ではなく、自社を選んだのか」という明確な動機やこだわりを伝えることで、面接官の「すぐに辞めてしまうかもしれない」という不安を払拭できます。
2. 企業研究を入念に行い、会社の強みを考える
「同業他社ではなく、なぜ応募先の企業に入社したいのか」を語るには、その企業の強みを見つけることが重要です。企業の公式HPや求人情報、新聞やインターネットなどを通じて、会社の現状や業界内でのポジション、将来性、採用したい人物像をよく研究しましょう。
3. 自分のキャリアの「軸」と重ねる
企業研究を十分に行ったら、自分自身の目指す方向性=「軸」と照らし合わせましょう。転職を機にもう一度キャリアプランを立て直し、応募先の企業がその計画を成就させるためのステップになるかどうかを吟味しつつ志望動機を作成すると、説得力のある動機が出来上がります。
質問4:自己PR(活かせる経験・実績・スキルについて)
面接官の意図
面接官が自己PRを聞く理由は、自社で求められる成果を出して活躍できそうかをイメージするためです。これまでの回答内容を踏まえて、会社に貢献している姿を想像しようとしています。
質問例
• 今までのご経験を交えながら、自己PRをしてください。
• あなたの業務上の強みを教えてください。
• 今までのキャリアで印象に残っている仕事のエピソードを教えてください。
回答例
「私の強みは、問題に対して何度も試行錯誤し、必ず解決に導く根気強さです。前職の営業職では、低迷していた部署全体の売り上げを上げるべく、個人単位での努力を積み重ねてまいりました。結果として、営業成績トップになったことに加え、同僚の指導にも従事し、部署全体の売り上げを前年比150%以上に引き上げることができました。私が営業時に取り組んだのは、お客様とのコミュニケーションを毎回工夫して、自分なりの潜在ニーズのくみ取り方を確立したことです。それによって、お客様の立場になって提案することができ、成約につなげることができました。御社では、前職で培ったコミュニケーション力や根気強さを活かして、お客様と信頼関係を構築していきたいと考えております。」
答える際のポイント
1. 募集職種に適した経験や実績・スキルを選んで答える
面接官が知りたいのは、入社後に具体的にどのような活躍が見込めるかです。そのため、自己PRでは、募集職種に役立てられるスキルや能力を持っていることをアピールしましょう。企業が求めるスキルや能力を把握するため、自己PRでも志望動機を考える際の企業研究が役立ちます。
2. 目的達成のための行動を具体的に話す
どのような仕事にも必ず「目的」があります。前職で目的を達成した実績があれば、その過程で取った行動を具体的に話すことで、目標達成志向の強さ・行動力・実行力をアピールすることが可能です。どんな職種であっても目的達成力はアピールポイントになるので覚えておきましょう。
3. 実績は具体的な数値で語る
ただ「努力しました」と抽象的に伝えるのではなく、自分の働きでどんな成果が上がったのか、定量的に示すと面接官にイメージしてもらいやすいです。売り上げや目標達成率などのわかりやすい実績がなくても、「〇時間かかっていた作業がどれだけ削減できた」「月に〇件ほど発生していたミスがゼロになった」なども実績に含まれます。
質問5:逆質問(面接官への質問)
面接官の意図
面接官が逆質問をする理由は、自社への入社意思の強さや、お互いのマッチ度を確認するために知りたいことがあるかを知るためです。入社する意思が強く、働いているイメージが応募者の中にあるかをチェックしようとしています。
質問例
• 何か弊社に対して質問はありますか?
• 最後に質問があればどうぞ。
回答例
• 「入社後、すぐに担当する仕事はどのような案件になると考えられますか?」
• 「一緒に働くメンバーにはどのようなキャリア、年齢の人が多いのでしょうか?」
• 「今後、最も注力していく領域を差し支えなければ教えてください。」
• 「市場が〇〇という方向に動いていますが、御社ではどのような対応をする方針ですか?」
答える際のポイント
1. 必ず何か質問する
逆質問の内容が選考結果を大きく左右することはありませんが、必ず何か質問するようにしてください。面接官は質問の有無や内容によって「自社に本当に興味を持っているのか」「自社への入社意思は強いのか」を最後にチェックしています。
2. 待遇や福利厚生についてばかり質問しない
仕事内容や企業については聞かず、勤務条件に関する内容にばかり言及するのは避けましょう。仕事内容や会社よりも、条件面を重視する人だと誤解されてしまう可能性があります。調べてもわからないことや面接の場で直接聞きづらいことは、転職エージェントを通じて確認することもできますので、ぜひご相談ください。
転職時の面接でほかによく聞かれる質問
面接でよく聞かれる質問には、基本的な5つ以外に「キャリアプラン・キャリアビジョン」「雇用条件」「会社の経営方針や事業」「時事問題」「答えにくい内容」などがあります。事前に準備しておくと焦らず答えられます。また、答えにくい内容に関しては準備できないことも多いため、何を聞かれても慌てないで済むように自身の転職活動のプランや目標を明確にしておくと心強いです。
キャリアプラン・キャリアビジョンについて
面接官の意図
面接官がキャリアプランやキャリアビジョンを聞く理由は、「自社で長く働いてくれるか」を確認するためです。入社後のミスマッチを防ぐため、応募者がキャリアビジョンや目標と自社の仕事を結びつけて考えているかを確認します。志望動機と食い違ったことを言わないようにキャリアプランは入念に整理しておきましょう。
質問例
• あなたのキャリアプランについて教えてください。
回答例
「まずは、個人で目標達成できるように、業界や顧客の知見をインプットして精進していきたいです。ゆくゆくは、営業部の中心的な役割を担い、個人だけでなく、部署全体・事業全体での成果を効率的に上げていけるようマネジメントにも挑戦していきたいです。」
雇用条件について
面接官の意図
面接官が雇用条件について聞く理由は「勤務条件のすり合わせ」ですが、「入社に対する熱意」も測られることがあるので注意が必要です。例えば、全国展開をしていて転勤の可能性のある会社に応募しているのに、「転勤は絶対にしたくない」と答えてしまうと、志望度が低いと判断されかねません。
質問例
• 残業はどれくらいであれば許容できますか?
回答例
「現在の会社でも週15時間程度の残業をしていますが、時期によって業務量に差があるのは理解しています。ただ、あまり残業が多いと翌日の業務に支障をきたすので、普段から効率的に作業できるよう手順を工夫したいと考えています。」
会社の経営方針や事業について
面接官の意図
面接官が会社の経営方針や事業について聞く理由は、「会社のことをよく理解しているか」「考え方の相性は良いか」を確認するためです。会社としては、理念や方針に賛同する人が働いてくれたほうがスムーズに業務を進めやすいのです。
質問例
• 弊社の理念やビジョンをどう思われますか?
回答例
「私は御社の『食を通じて生活を豊かにする』という理念に深く共感しています。食は生きることと切っても切れない関係にあり、人生の豊かさに大きな影響を与えると思います。食を重視することでお客様を大切にする姿勢が、商品やカスタマーサービスの柔軟性に現れており、とても魅力的に感じました。私もお客様の人生に寄り添える食の提供を目指して尽力したいと考えています。」
時事問題について
面接官の意図
面接官が時事問題について聞く理由は、「情報に対する感度・敏感さ」「情報収集力」を把握するためです。企業は社会や時代の流れに沿って事業を行っているため、ニュースや新情報に敏感であることは重要なポイントです。
質問例
• 最近気になるニュースは何ですか?
回答例
「最近、同業他社の〇〇社が週4日勤務を来年度からスタートするというニュースが気になっています。リモートワークが進む中で、社内SEとして社員の生産性を上げるためのツール導入が今後より一層、質とスピードを重視したものが求められると感じています。」
答えにくい内容について
事前の準備がしにくい答えづらい質問をされることもあります。焦らず誠実に対応し、回答できないことや譲れないことはその場で無理に回答しなくても問題ありません。
質問例
• ほかに受けている企業はありますか?
回答例
「ほかにも数社受けていますが、御社を第一志望としております。御社から内定をいただいた際は優先させていただきます。」
質問例
• 結婚後のキャリアはどう考えていますか?
回答例
「現時点ではまだ結婚後のキャリアについて具体的に決めていませんが、御社の業務には真摯に向き合い、責任を持って仕事を続けていきたいと考えています。」
質問例
• 希望職種と異なる場合はどうしますか?
回答例
「ほかの職種であっても精一杯努力させていただきます。前職で培った粘り強さを活かし、御社の事業に貢献する所存です。」
面接の定番質問5つを押さえて本番に臨もう
面接で必ず聞かれる5つの質問について、それぞれの意図や回答例、ポイントを押さえておけば、面接本番で自信を持って対応できるでしょう。準備をしっかりとして、自分の強みや経験を効果的にアピールすることが重要です。転職活動を成功させるために、このガイドを参考にして、面接の対策を万全にして臨んでください。